安全性について

液体燃料炉の原理的安全性

「トリウム溶融塩炉」は、従来の主流原子炉である「軽水炉」が持つ安全性に関する問題を原理的に解決します。

1.水蒸気爆発や水素爆発が起こりえない

冷却材に水を使用しないので、原子炉内は基本的に常圧(約5気圧以内)であり、原子炉からの熔融塩の漏洩や設備の破損といった高圧に伴う事故の危険性がありません。また、燃料被覆管のジルコニウムと水との過熱反応により水素が発生するようなことは起こりえず、従って、水素爆発が起こることもありません。

2.暴走の危険がない

炉内温度が上昇すると逆に核分裂反応が弱まるという負の温度反応度係数効果を備えているため、炉内温度は一定以上には上昇せず、原子炉の暴走が起こりません。
緊急時に仮に制御棒が機能しなくても、燃料塩をドレインタンクへ排出することで原子炉を停止でき、減速材かが存在しないドレインタンク内では再臨界することはありません。

3.メルトダウンは原理的に起こらない

溶融塩は、沸点が約1500℃と通常運転温度の約700℃に比べ十分に高く、仮に異常な温度上昇があっても液体燃料の性質に変化がなく、もともと溶融しているので炉心溶融(メルトダウン)のような重大事故が原理的に起こり得ません。

4.火災や放射性物質漏洩の危険性がない

溶融塩は化学的に安定かつ不燃性なので火災の危険性がありません。
万一溶融塩燃料が原子炉外に漏れ出しても、空気や水との反応性はなく、自然冷却によりガラス状に固まるため、建屋内に放射性物質を閉じ込めて外に出すことはありません。